Trend forecast for salons

歴史は繰り返す。
ただし、質感は進化する。

1990年代のしっとり、2010年代の抜け感、2020年代の美髪志向。 その先にある2027年のヘアトレンドと、2028年まで続く可能性を、 数値データ、定性の声、文化サイクルの3方向から読み解く。

本レポートは、主に20〜40代女性の都市部サロン顧客層を想定したトレンド予測です。 年代・地域・サロン客層により、浸透速度は異なります。

Texture balance map Light appearance / Moist touch
1990s
面と重さ
2000s
巻きと盛り
2010s
抜け感
2020s
美髪志向
2025
色の深み
2026
自然な艶
2027
動くモイスト
2028
継続・定着
軽そうに見えて、触るとしっとり。 2027年に生まれる「動くためのしっとり」は、劇的な反動がなければ2028年も続く見込み。
Executive Summary

2027-2028年の本命は「動くモイスト」。

レイヤー人気と重め回帰は矛盾しない。2027年は、毛先の厚みを残しながら、 顔まわりと表面に動きを作る方向へ進む。質感はベタつかず、乾いて見えず、 髪そのものが整っているように見えることが重要になる。劇的な反動がなければ、 2028年もこの流れは続く見込み。

軽さは残る

フェイスレイヤー、ローレイヤー、ニュアンスパーマにより、視覚的な動きは継続する。

厚みは戻る

毛先が薄すぎるスタイルは、ダメージや乾燥に見えやすい。厚みを残す設計に揺り戻す。

艶は変わる

濡れ感で作る艶ではなく、自然な面の整いと毛流れで見せる艶が中心になる。

Core copy 流行は戻る。
でも、昔のままでは戻らない。

1990年代のしっとりは、髪を下に落として広がりを抑える質感だった。

2000年代は、巻き髪、縮毛矯正、明るめカラーで、髪をわかりやすく作り込む時代だった。

2010年代の軽さは、透明感カラー、前髪、束感で抜けて見せる質感だった。

2020年代の美髪志向は、ダメージを抑えながら艶と扱いやすさを整える質感だった。

2027年から2028年にかけて、髪が動いても乾いて見えない質感が続く。

2027-2028 Hair Outlook

2027年から2028年、
髪は「軽いのに、きれいにまとまる」方向へ。

次に来そうなのは、ただ軽い髪でも、ただ重い髪でもない。 顔まわりはふわっと動き、毛先はパサつかず、色は落ち着いているのにやわらかく見える。 そんな「自然に整って見える髪」が、2027年の中心になりそうです。 大きな反動がなければ、2028年もこの延長線で定着していくと考えられます。

質感は、見た目ライトで手触りモイスト

髪が動いて見える軽さは残しながら、触るとしっとり。オイルで濡らす艶より、髪そのものが整って見える自然な艶が好まれそうです。

色味は、暗めでも重く見えないブラウンへ

チョコ、モカ、オリーブ、ラベンダー、ピンクブラウン。派手すぎず、でも地味に見えない深みカラーが強くなりそうです。

パーマは、
底打ちから反転するか

女性のパーマ利用率は低下している。一方で、低ダメージ・高再現性の薬剤、韓国風の大きめカール、ニュアンスパーマの発信が増えている。需要の反転はまだ未確認だが、反転条件は揃い始めている。

レイヤーは、
軽くするためだけのものではなくなる

毛先を薄くしすぎるレイヤーではなく、顔まわりに動きを出し、毛先には厚みを残す。まとまりと抜け感を両立する使い方へ変わります。

前髪と顔まわりで、印象を変える

大きく長さを変えなくても、前髪、サイドバング、頬にかかる毛流れで雰囲気を変える提案が増えそうです。

きちんと見えるけど、頑張りすぎない

作り込みすぎた巻き髪より、手をかけていないように見えて整っている髪へ。生活になじむ上品さが鍵になります。

SNSで先に見えてくる、小さな変化。

数字のランキングにはまだ出にくいけれど、SNSでは髪型への小さな違和感や好みの変化が先に表れます。 ここでは、そんな「これから増えそうな気分」を、お客様にもわかる言葉で整理します。

軽いレイヤーは好き。でも、毛先が薄く見えるのは避けたい。

暗めカラーにしたい。でも、重く見えるのは避けたい。

巻いたような動きは欲しい。でも、毎朝のスタイリングはラクにしたい。

しっとりまとまりたい。でも、ベタつく重さはいらない。

History Timeline

髪型は、生活と気分の変化を映してきた。

美容だけを見ても流行は読みにくい。ファッション、色、社会心理まで並べると、 「重さ」と「軽さ」が交互に出ながら、その時代に合う形へ再編集されてきたことが見えてくる。

時代

ヘアの傾向

ファッション・色の傾向

社会の気分

平安

身長ほどの長い黒髪を垂らす垂髪。直線、長さ、黒髪が美の中心。

階級性と儀礼性。装いは優雅さを示す記号。

屋外労働から離れた貴族的生活が、束ねない髪を成立させた。

江戸

島田髷、丸髷など日本髪が発達。髪型で身分、年齢、婚姻状態が読まれた。

髪飾り、結髪、着物の文様が社会的サインとして機能。

髪は個性だけでなく、共同体のルールを示すメディアだった。

明治

束髪が登場。日本髪より軽く、簡単で、衛生的な髪型として広がる。

洋装、鹿鳴館、バッスルスタイル。西洋化と日常性の折衷。

便利さ、衛生、近代化が美意識の変化を後押しした。

大正
昭和初期

耳隠し、断髪。ウェーブ技術と短い髪が「自由に楽しむ髪」へ価値観を変える。

モダンガール、洋装、都市文化。黒髪直毛一択からの離脱。

社会慣習から自己表現へ。髪型が意思表示になる。

1990s

面、まとまり、ストレート、しっとり。髪を下に落とし、広がりを抑える美しさ。

コンサバ、ブランド志向、ギャル、茶系。強さと華やかさが混在。

バブル後の不安のなかで、見た目の完成度と強い女性像が求められた。

2000s

巻き髪、縮毛矯正、明るめカラー。作り込む、盛る、記号化する髪。

Y2K、姫系、CanCam系、ピンク、ベージュ、ハイトーン。

携帯、雑誌、テレビの影響が強く、わかりやすいモテ記号が拡散した。

2010s

外国人風カラー、透明感、シースルーバング、抜け感。軽さは色と隙間で作られた。

ノームコア、韓国、くすみカラー。頑張りすぎない普通さが価値になる。

SNS時代に、作り込んでいるのに自然に見える表現が支持された。

2020s

髪質改善、暗髪、顔まわりレイヤー、ボブ、低ダメージ志向。

クリーン、ミニマル、クワイエットラグジュアリー、深みブラウン。

過剰な消費やマイクロトレンド疲れから、長く使える上質さへ向かう。

2025

ブリーチなしで色を楽しむ。ベージュ、ブラウン、ピンク、レッド、グレー、オリーブ。

モカムース系の温かいブラウン。静かな高級感に個性が戻り始める。

ダメージ回避と色を楽しみたい気分が同時に存在する。

2026
上半期

エフォートレス、自然な艶、軽めオイル、暗めくすみ、レイヤー、パーマ、ショート。

白(Cloud Dancer)、グリーン、暖色、ブラウン。落ち着きとアクセントカラーが共存。

「がんばらない」けれど、カットとケアは必要という現実的な美意識へ。

2027
予測

重めベースのレイヤー、動くモイスト、暗髪の艶、ニュアンスパーマ。

上質カジュアル、和モダン、深みブラウン、血色暖色、白を効かせた余白。

新しさより再編集。歴史を捨てず、現代の生活へ合う形に更新する。

2028
見込み

2027年の流れが定着。動くモイスト、低めレイヤー、ゆるいパーマ感が継続。

暗めブラウン、血色を感じる暖色、軽く見える艶が引き続き選ばれる。

劇的な反動がなければ、大きく変わるより「扱いやすく洗練される」方向へ。

Data Signals

数字で見ると、
「動くモイスト」の前提が見えてくる。

予測は感覚だけでは弱い。2027年から2028年の方向性を読むために、 美容室市場、利用金額、ケア施術、ストレート、パーマ利用率の変化を並べる。 数値は主に(株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー調べの美容センサスに基づく。

注記:以下は公開調査・関連解説をもとに、本文用に要約したものです。美容センサス由来の数値は、出典として「(株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー調べ」を明記しています。

+10.4pt

トリートメント利用率

女性の利用率は3年間で21.5%から31.9%へ。モイスト需要は、感覚ではなく施術利用にも表れている。

(株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー調べ
3年連続

縮毛矯正・ストレート増加

面の整い、自然な艶、扱いやすさへの投資が続く。重さではなく、髪そのものを整える方向の裏付けになる。

(株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー調べ
1兆3884億円

美容室市場規模

2025年上期は前年比2.5%増。美容への投資は縮小ではなく、価値ある施術を選ぶ方向に動いている。

(株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー調べ
7,668円

女性の1回利用金額

ここ5年で最高、前年比2.5%増。単価上昇は、色・形だけでなく質感とケアへの関心を示す。

(株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー調べ
-6.7pt

パーマ利用率

女性は3年間で27.3%から20.6%へ。これは弱材料だが、次の「底打ち反転仮説」の前提になる。

(株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー調べ
Recent Signals

2025年と2026年上半期を、細かく読む。

2027年から2028年を読むには、直前の2年を見る必要がある。2025年は「傷ませず色を楽しむ」。 2026年上半期は「自然な艶で、髪が動く」。この2つが重なり、動くモイストへつながる。

2025年

  • ヘアカラーは、ブリーチなしで楽しめるベージュ、ブラウン、ピンク、レッド、グレー、オリーブが注目軸。
  • ダメージを避けながら、透明感や色味を出したいニーズが強い。
  • ファッション側では、クワイエットラグジュアリーの反動として、個性、クラフト、質のよさが再評価される。
  • 色の気分は、温かいブラウン。モカ系は「落ち着き」と「感覚的な豊かさ」を両立しやすい。

2026年上半期

  • ヘアはエフォートレス。形を作り込みすぎず、髪が自然に動く方向へ。
  • ウェットな重さより、自然な艶。オイルも軽め、バームも毛流れを整える用途へ。
  • 暗めくすみカラー、春夏の暖色、顔まわりレイヤー、ローレイヤー、パーマが並行して伸びる。
  • 色の気分は、白の余白とグリーン、ブラウン、暖色の組み合わせ。落ち着きの中に生命感を足す方向。
Texture Evolution

同じ「しっとり」でも、時代で意味が違う。

しっとりは普遍的な好みだが、何をもってしっとりと感じるかは変化する。 2027年から2028年のしっとりは、重さではなく柔らかさと毛流れで表現される。

1

1990年代
重力のしっとり

髪を下に落とす。広がりを抑える。面を整える。毛先まで同じ方向に収めることが、きれいな髪の印象を作った。

2

2010年代
演出の軽さ

色、前髪、束感、巻きで抜けを作る。髪の密度は残しながら、見た目を軽くする技術が広がった。

3

2027-2028年予測
毛流れのしっとり

動いても乾いて見えない。毛先は散らばらず、レイヤーはつぶれない。軽さと潤い印象の両立が価値になる。

2027-2028 Forecast

予測は「重めが戻る」ではなく、
「重めに見えるレイヤー」。

レイヤー人気の反動で重めが来る、という見方は半分正しい。 ただし2027年の重さは、動きを消す重さではない。厚みを残して、動きが出る重さになる。 この方向は劇的な反動がなければ、2028年も継続する見込み。

1
確度:高

毛先は厚め、顔まわりは軽め

全体を削ぎすぎず、顔まわりと表面で変化を作る。毛先の細りを避け、艶とまとまりを残す。

2
確度:中

低めレイヤーとニュアンスパーマ

毎朝巻かなくても揺れる髪。作り込んだカールより、日常で扱いやすい動きが支持される。

3
確度:中

パーマは、
底打ちから反転するか

底: 女性のパーマ利用率は3年間で27.3%から20.6%へ低下し、若年層の離脱も大きい。

技術: パーマ剤は低ダメージ・高再現性へ進み、「かけると傷む」という離脱要因は弱まりつつある。

発信: ニュアンスパーマ、ジェリーパーマ、韓国風の大きめカールなど、提案側の言葉が増えている。

需要は底、技術の壁は崩れ、発信は増えている。ただし需要データ自体の反転はまだ確認されていない。よって確度は中とする。

4
確度:高

暗髪は、重く見せないブラウンへ

モカ、チョコ、オリーブ、ラベンダー、レッドブラウン。深みと血色を足し、暗さの中に透けを作る。

5
確度:高

スタイリング剤は「軽い整え役」へ

濡らして固めるより、毛流れを整える。オイルは軽く、ミルクやミストは柔らかさを補う方向へ。

6
確度:高

顔まわりで、さりげなく印象を変える

大きく長さを変えなくても、前髪、サイドバング、頬にかかる毛流れで雰囲気を変える。自然だけど印象に残る髪が選ばれそうです。

7
確度:中

2028年も、
急に別方向へは振れにくい

2027年に「軽く見えて、触るとしっとり」が広がれば、2028年はその流れがより扱いやすく、より日常向けに定着する年になりそうです。

動くモイスト 重くないまとまり 毛流れの艶 軽く見える厚み 乾いて見せない空気感 顔まわりは軽く、毛先はしっとり オイルで濡らさない艶 巻かなくても動くパーマ 2028年も継続見込み
Counter Scenarios

この予測が外れるとしたら、
どんな反動が起きるか。

「動くモイスト」は現時点の本命仮説であり、確定した未来ではない。 予測を実務で使うには、外れる条件も先に置いておく必要がある。

シナリオA:ハイトーン・作り込み回帰

景気高揚、新たなアーティストやドラマのアイコン化、Y2K的な装飾気分の再加速により、 明るいカラーと作り込んだスタイルへ急旋回するケース。

  • ブリーチ、ダブルカラー検索数の急上昇
  • 若年層のハイトーン利用率の反転上昇
  • SNSで「盛り」系スタイルの投稿が再増加

シナリオB:超ショート化・ミニマル加速

エフォートレス志向がさらに進み、「動くモイスト」を通り越して、 ケアやスタイリング負荷の少ない超ショートへ向かうケース。

  • ショート、ピクシー系の検索数とサロン投稿数の急増
  • ロング層の大幅減少
  • ケアより時短を優先する声の増加

本レポートは上記の指標を継続観測し、半期ごとに予測を更新する。

References

主な出典

本資料は、定量データ、業界・現場の声、文化史、ファッション・色彩動向を横断して整理した予測資料。 2027年から2028年の予測は、現在の流れから見た仮説としてまとめている。

Ver.3.0(2026年6月改訂):定量データ、パーマの底打ち反転仮説、反動シナリオ、確度ラベル、対象読者定義、出典分類を追加。